介護業界に転職するメリット|有利に転職するために必要な資格も解説
近年、介護が必要な人の数は増加の一途を辿り、介護を支える人材確保が急務です。一方、専門性を持つ仕事へのキャリアチェンジや、仕事へのやりがいを求めて介護業界への転職を希望する人も増加しています。
介護業界への転職は、他の専門性がある医療などに比べると、経験や資格がない場合でも採用となることがあるため、成功率は高いといえます。
また、働きながら介護関連の資格を取ることも可能なため、キャリアアップの道が開かれていると言っても過言ではありません。
今回は、介護の仕事と働き方や、介護業界に転職するメリット、介護業界への転職に有利な資格に関する情報を詳しく解説します。ぜひ、介護の専門家として歩み出すための参考にしてください。
1.介護の仕事と働き方
介護の仕事は、専門的な知識や技術を持ち、高齢や病気のために身体が自由に動かなくなった人の生活の支援を行うことです。
2000年に介護保険制度が施行され、これまで公的な機関が行っていた福祉分野に民間企業が参入し、介護業界の規模が一気に大きくなりました。
介護の仕事は多岐にわたり、それぞれの分野において職種・業務も多種多様にあります。
介護の主な職種と業務内容は、下記のとおりです。
介護職・ホームヘルパー | 高齢者やサポートが必要な人の日常生活の支援を行う |
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介護支援専門員(ケアマネージャー) | 介護施設と家族との間のコーディネーターとなる |
生活相談員 | 介護サービスや施設と家庭の連携だけでなく、調整や手続きなど全般的なコンサルティングを行う |
施設長 | 施設の責任者としてマネジメントを行う |
ケアクラーク・医療事務 | 介護報酬を管理する |
雇用形態は他の業界と同様に、正社員や契約社員、派遣社員、パート・アルバイトがあります。
介護業界は人手不足が深刻なため、未経験・無資格を歓迎する求人も存在しますが、正社員や契約社員として働く場合は、資格を持っている人のほうが有利です。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)修了以上の資格を保持している場合、基本的な身体援助のスキルを持ち合わせていることが証明されるため、給与面でも有利となるでしょう。
2.介護業界に転職するメリット
他の業界から介護業界へ転職するメリットは、下記のとおりです。
- 介護業界全体の需要が高い
- 給与など処遇改善が進められている
- 個人のライフスタイルに応じて、様々な働き方ができる
- 年齢や性別にかかわりなくキャリアアップできる
- 人の役に立つ仕事のため、十分なやりがいを得られる
介護業界に転職するメリットとして、介護関連の資格を保持していない人でも応募できる求人が多いことが挙げられます。
また、働きながら介護関連の資格を取れる資格取得制度が整っている施設が多い点も、求職者にとって重要なポイントといえるでしょう。資格取得を支援している施設では、その後の実践に役立てることができます。
近年、人口に対する高齢者の割合は増加しています。
令和2年版高齢社会白書によると、2019年10月時点で、総人口1億2,617万人のうち65歳以上の人口は3,589万人(高齢化率28.4%)
です。
2010年5月時点で要介護(要支援)の認定を受けた人は、全国で488万4,000人、2020年5月時点では668万6,000人
と、10年間で180万2,000人も増加しています。
出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(平成22年5月暫定版)」
出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和2年5月暫定版)」
少子高齢化により今後も要介護者の割合が増えると見込まれることから、人材の確保が急務であることは明確です。将来を見据えて介護業界への転職を考えている人は、資格取得を支援している施設などで実績を積みながら働くことが重要となります。
3.介護業界への転職を有利にする資格の種類
介護の仕事は一般的に職務給となっており、資格の有無によって就ける業務の範囲が決められています。例えば、社会福祉士やケアマネージャーなどは、資格がないとその職務に就くことはできません。また、資格試験を受けるためには実務経験が必要です。
したがって、資格を持っているほうが有利な仕事に就ける可能性が高いといえます。
また、介護職のキャリアアップを実現するためには、介護関連の資格が不可欠です。
ここでは、介護業界への転職を有利にする資格と研修制度について解説します。
3-1.介護職員初任者研修
介護業界で働きたい人向けの研修として、「介護職員初任者研修」があります。介護職員初任者研修の修了者は、旧ホームヘルパー2級資格取得者と同等程度のレベルです。
介護職員初任者研修を修了していることで、入浴など身体介助を行うことができるため、採用につながりやすくなります。
従来の介護の資格制度は複雑で、キャリアパスの仕組みが整備されていませんでした。そこで、キャリアパスの仕組みの整備にともない、高いスキルを持った介護職を養成することを目指して、わかりやすい介護の資格制度やキャリアパスの仕組みが作られました。
介護職員初任者研修は、介護職のキャリア形成のスタートラインに立つための研修です。受講には特に規定はないため、学歴不問で誰でも受けることができます。
将来、介護業界で活躍したい人は受講を検討しましょう。
3-2.介護職員実務者研修
介護職員実務者研修は、介護職員初任者研修の上位に位置する研修です。介護職員初任者研修の修了者には一部の試験免除があり、受講しやすいことがメリットです。
介護職員実務者研修では、痰の吸引や経管栄養などの医療的な介護処置の知識を学ぶため、医療を含む身体介護に関する専門性の証明となります。
介護福祉士の国家試験の受験資格は、3年以上の実務経験と共に介護職員実務者研修の受講が必須です。そのため、介護職員実務者研修は介護のキャリアパスの中で重要な位置づけとなります。
3-3.介護福祉士
介護の実務経験が3年以上ある人は、介護福祉士の受験資格を得ることが可能です。介護福祉士は国家資格で、介護職員実務者研修の上位に位置します。
介護福祉士は、サービス利用者の身体的・精神的ケア、介護スタッフに対する教育や指導、リーダーとしての役割を担う人材です。
2015年には、介護福祉士の最上位資格である「認定介護福祉士」が設置されました。認定介護福祉士は国家資格ではありませんが、介護職の資質の向上を目指し、専門職としてのキャリアパスを考える上で目標となる資格です。
介護福祉士は介護の実践者ですが、認定介護福祉士は介護の実践に加えて組織のマネージメントや他職種・地域と連携し、包括的ケアに対応できる管理能力が求められます。
認定介護福祉士は、介護福祉士として5年間の実務経験を有し、認定介護福祉士養成研修を受講することで、取得可能となります。
3-4.ケアマネージャー
ケアマネージャーは、国家資格(介護福祉士等)を取得後、実務経験5年以上で受験資格が得られます。ケアマネージャーは国家資格ではありませんが、介護職の中でも専門知識を持ち合わせ、実務経験が豊富な人材が適している職種です。
ケアマネージャーの主な仕事は、介護を必要としている人の心身の状態や環境などに応じて、介護サービスを利用できるようにケアプランを立てることです。
介護業界でのキャリアプランは、以下のとおりです。認定介護福祉士となるためには研修が必要ですが、ケアマネージャーは資格試験を受けて合格すると資格が取得できます。
介護職員初任者研修
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介護職員実務者研修
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介護福祉士(国家資格)/実務経験3年
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認定介護福祉士・ケアマネージャー/実務経験5年
未経験の人が介護業界に転職する場合は、まず介護職員初任者研修や介護職員実務者研修の受講をおすすめします。少しでも早く介護福祉士の資格を取得したい人は、介護職員実務者研修から受講することも可能です。
これらの研修を受講する際は、通信講座や通学講座があり、平日コースや土日コースなど多彩なコースを用意している「ハクビ」がおすすめです。「ハクビ」では、より質の高い介護職の育成を目指し、介護職としての心構えやマナーなどもカリキュラムの中に取り入れられています。
まとめ
介護は、人の役に立つことができるうえ、やりがいも得られる仕事です。介護業界では多くの人材が求められており、介護関連の経験がなくても応募できる求人が多く存在します。しかし、介護職員初任者研修を事前に受講し、介護のスキルを持っていることを証明することで、採用の確率を上げることができます。
質の高い介護職の育成を目指す「ハクビ」では、通信講座や通学講座を受けられる他、介護職としての心構えやマナーなども学ぶことが可能です。介護業界への転職を成功させるためにも、活用してみてはいかがでしょうか。