介護職員初任者研修は男性も受講する?
高齢社会を迎えた今、親の介護は誰もが直面し得る問題となりました。しかしながら「家事や介護は女性の仕事」という考え方が根強く残っており、女性が介護の担い手となって負担を強いられることも少なくありません。
しかし、介護の現場では力のある男性が求められていることもあり、介護資格の登竜門として知られる介護職員初任者研修を受講する男性は増加傾向にあります。
ここでは、介護に興味のある男性のために、男性と介護の関わり合いについてご紹介します。
男性介護者が必要とされる理由
介護の現場では、様々な場面で男性の力を必要としています。入浴介助など様々な場面で介護者を抱えたり、支えたりする介護の現場では、腰痛の悪化などを理由に離職する女性介護者が後を絶たず、それをカバーするためにも腕力のある男性介護者の存在は欠かせないものになっています。 介護を必要とする男性の高齢者が男性介護者を希望することもあります。入浴や排泄は異性に見られたくない、身体の細い女性に介護を任せるのは不安などといった声に応えるためにも、男性介護者は必要だと言えます。
また、長期間の療養を強いられている高齢者にとって「息子のような存在」が心を癒すことも少なくありません。身寄りが少ないため、面会者がほとんどおらず、会話する機会が乏しい高齢者が、男性介護者との関わりを通して意欲を取り戻すというケースもしばしば見られます。
男性の視点に立って、介護を受ける側の気持ちを考えることができるのも、男性介護者が重宝される理由の一つです。
男性介護者120万人超の時代へ
親や妻など家族の介護を担う男性介護者は、全国で120万人を越えると言われています。2010年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、在宅介護者の3人に1人が男性であり、男性介護者の数は核家族化や少子化の煽りを受けて年々増加し続けています。血縁に対する意識や価値観の変化により、子の配偶者(妻)が義両親の介護を行う割合が減少していることも影響していると考えられます。
近年では、親の介護を経験したことをきっかけに介護職を目指す男性も増えており、現場で活躍する介護職の約2割が男性であり、「介護は女性が行うもの」という認識は徐々に薄れてきています。
介護職員初任者研修で介護がもっと身近に
男性介護者の増加に伴い、男性ならではの問題も深刻化しています。男性は女性に比べて家庭内の不満を他人に打ち明けることを得意とせず、日々の介護から生じる悩みを一人で抱えがちです。また、もともと家事が苦手な男性が多いなかで、介護と家事を両立させることは容易ではなく、自分の介護に自信が持てず、ストレスをためてしまうケースがあります。
そのような問題を解決する糸口として、男性介護者は、介護職員初任者研修の受講をおすすめします。介護の基本的な知識と技術を身につければ、自信をもって介護に取り組むことができるようになるでしょう。
また、同じような境遇にある受講者と互いを励まし合うこともできます。
介護職員初任者研修は、介護の経験がない人や、今は全く別の分野で働いている人でも年齢、性別を問わず受講することができます。慢性的な人手不足に陥る介護の現場では、男性職員を求めているところも多く、就職をすれば即戦力として活躍できるチャンスがあります。
また、最近では「親の介護は自分の手で」と考える中年男性が将来に備えるために受講するケースも増えています。男性だからという理由で躊躇している方は、この機会にぜひ一度受講してみてはいかがでしょうか。