介護福祉士国家試験前の過去の実技試験の内容とは?
介護福祉士の資格を取得するためには、いくつかの方法があり、中には筆記試験のほかに実技試験にも合格しなければならない場合があります。
この方法で資格取得を目指す方は、実技試験で不合格にならないように、しっかりと対策をとっておきましょう。ここでは、実技試験の概要やポイントについてご紹介します。
介護福祉士国家試験における、実技試験の概要
1月下旬に行われる介護福祉士の国家試験の筆記試験に合格した方のみ、3月上旬に行われる実技試験に進むことができます。
実技試験は個室に受験生が一人ずつ呼ばれ、要介護者役のモデル、審査官2名によって行われます。
例年1事例が出題され、要介護者の安全・安楽の確保、要介護者とのコミュニケーション、要介護者の自立支援・自己決定の3つのポイントを5分間で採点します。
基本に忠実に行うことが合格の鍵となります。
受験対策
実技試験では、数年前までは片麻痺に関する問題が主に出題されていましたが、第25回(2013年)には歩行器型杖(サイドウォーカー)の使用者の介護、第26回(2014年)には全盲者の介護など、さまざまな問題が出題されるようになりました。
どんな問題が出題されても、慌てずに落ち着いて対応することが大切です。
要介護者の安全安楽の確保
介護する上で、もっとも重視しなければならないのは、要介護者の安全です。転倒や落下などの怪我につながる事故だけでなく、転びそうな位置に物を置く、麻痺のある手足を乱暴につかむなどの行為が見られた場合は、不合格となります。
危険な行為とみなされないか、要介護者に苦痛を与えていないかなどに気を配ることが重要です。
要介護者とのコミュニケーション
要介護者は、無言で介護をされると不安になってしまいます。そのため、これから行うことを要介護者に分かりやすく伝えます。声を掛けることで、要介護者の同意を得るだけではなく、介護者自身も動作の確認ができ、ミスの発生を防ぐことができます。
また、非言語のコミュニケーションも大切ですので、相手の目を見て、笑顔で話しかけるようにしましょう。
介護のみに集中して無言にならないよう、意識して声掛けをしてください。
要介護者の自立支援自己決定
介護の基本は、できない部分を助け、できる能力を低下させないようにすること(自立)です。
介護者が全てサポートしてしまうと、要介護者の能力を奪うことになりますので、実技試験ではしっかりと聞き取りを行い、要介護者が自分でできること(残存機能)の把握と、残存機能の活用方法を理解している必要があります。
例えば、左半身に麻痺がある要介護者が服を着る場合、麻痺のある左手は介助が必要ですが、右手は自分で袖に手を通すことができるはずです。それを要介護者にわかりやすく説明することで、自立を促すことができます。
もう一つ大切なのは、自己選択と自己決定です。2つ以上の選択肢がある場合は、必ず要介護者に選んでもらわなくてはいけません。全てにおいて、人としての尊厳を厳守することが求められます。
安全の確保、コミュニケーション、自助努力や自己決定など、採点される点は介護を行う上で基本となる項目ばかりです。
実技試験では、我流の介護技術は通用しません。受験前には、介護技術のテキストなどで要介護者との正しい接し方を確認してください。