福祉用具専門相談員の就職事情とは?
福祉用具専門相談員は、日常生活に介護を必要としている人の心身状態や、障害の程度に応じた福祉用具の選定をアドバイスする専門家です。平成18年の介護保険制度改正により、居宅介護福祉用具購入費の支給対象となる福祉用具を販売・貸与する事業所には、福祉用具専門相談員を2名以上配置することが義務づけられ、その活躍が広く認知されるようになりました。
福祉用具専門相談員の資格を取得するメリット
福祉用具専門相談員の資格は、各都道府県知事の指定を受けた研修期間で実施される指定講習を受講し、修了試験に合格することで取得できます。受講資格に特に制限はなく、介護や福祉についてはじめて学ぼうとする人にも取り組みやすい内容になっています。 全50時間のカリキュラムでは、福祉用具専門相談員の役割や介護保険制度の概要を理解するだけではなく、身体が不自由な障害者や高齢者の特徴や医学的知識、介護技術についても学んでいきます。また、福祉用具サービス計画書の作成実習では、実際の事例を通してグループワークやロールプレーを行いながら、実践力を身に付けることができます。
福祉用具専門相談員の求人には、無資格や未経験者でも可としているものも見られますが、実際に50時間のカリキュラムを修了して就職する場合との差は歴然です。現場では、即戦力として活躍できる人材を求める傾向が強いため、福祉用具専門相談員の有資格者が優先的に採用されるでしょう。
また、福祉用具専門相談員の資格を取得後すぐに就職をしなくても、親や家族の介護、地域の高齢者福祉ボランティア活動などで修得した知識や技術を活かすことができます。福祉用具専門相談員の資格には有効期限が設けられていないため、子育て中の主婦や学生が将来に備えて取得しておくケースも増えているようです。
福祉用具専門相談員の求人と採用傾向
福祉用具専門相談員の有資格者は、福祉用具販売・貸与事業所での採用が最も多くなっています。福祉用具の利用を希望している人の自宅に直接訪問し相談に応じていくため、普通自動車免許が採用の必須条件としている事業所がほとんどです。また、新規利用者の獲得や販売促進活動を兼務する職場では、基本的なコミュニケーション能力はもちろんのこと、製品の説明能力やマーケティング能力が求められます。
勤務形態では、正社員としての採用が中心です。介護・福祉関連の仕事は休日が少なく、夜勤や残業が多いイメージがありますが、福祉用具専門相談員の場合は比較的働きやすい環境が整っていると言われています。土日祝日を定休としている職場も多く、無理なく仕事を続けていくことができるでしょう。
福祉用具専門相談員は、介護保険制度のなかでも高齢者の自立生活を支える専門職として重要な位置付けがされています。福祉住環境コーディネーターや福祉用具プランナー、介護福祉士などの関連職種を併せて取得すれば、在宅介護のプロとして信頼を集めることができます。将来的には独立開業も夢ではありません。