福祉用具専門相談員の仕事内容について
福祉用具専門相談員は、要介護高齢者や、その介護者が必要とする福祉用具の選別や取り扱いについて指導・相談に応じる専門家です。介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に二名以上の配置が義務づけられ、ケアマネージャーと協力しながら、利用者の自立した日常生活をサポートする役割を担います。
福祉用具専門相談員の業務内容
介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に勤務する福祉用具専門相談員は、福祉用具を利用しようとする人に対して「福祉用具サービス計画書」を作成し、利用者本人に内容を説明した上で同意を得る必要があります。
福祉用具サービス計画書の作成にあたり、福祉用具専門相談員は利用者の自宅を訪問し、本人やその家族との面談および住環境の調査を行います。その上で生活状況や心身の状態、生活上の課題やニーズを明らかにし、最も適した福祉用具を選定します。福祉用具サービス計画書には、福祉用具利用の目的(福祉用具の利用により達成される生活目標)や選定理由、取り扱い方法、故障時の対応法方等を明記しなければなりません。
また、福祉用具の利用が開始された後も定期的に利用者の自宅を訪問し、福祉用具の利用状況や目標の達成程度を確認する「モニタリング」を行っていきます。モニタリングの結果は、利用者本人だけではなく、担当のケアマネージャーや訪問介護員との情報共有にも役立てられ、日頃のサービス内容や訪問介護計画に反映されます。
福祉用具専門相談員、実際の仕事内容について
福祉用具専門相談員として福祉用具貸与・販売事業所に採用される場合は、福祉用具サービス計画書の作成やモニタリング業務だけではなく、新規利用者の獲得や新商品の紹介といった営業職を兼務するケースが多いのが現状です。 利用者との契約や面談の予定がない時は、近隣の居宅介護サービス事業所や介護施設を巡回し、情報収集にあたっています。他の営業職と同様に販売ノルマを課されることもありますが、それ以上に利用者の満足度や日常生活の改善、ケアマネージャーからの信頼関係の構築が成果として求められます。
介護施設に配属される福祉用具専門員の場合は、施設内の介護職と兼務している場合が多いようです。入所者の介護と並行し、食事動作の自立を助けるスプーン・フォークの導入、入浴用リフトのメンテナンス、杖・車椅子などの衛生管理などが主な役割となります。また、職員を対象とした福祉用具の研修会、自宅退院に向けた準備や家族指導を担当することもあります。
福祉用具専門相談員は、本来の業務以外にも営業や介護業務を兼務することが多いため、就職後も高齢者の医療や介護についてさらに知識を深めていく必要があるでしょう。経験を重ねるごとにケアマネージャーや看護師などの医療従事者と関わる機会が増え、より専門的なアドバイスや指導を求められるようになると、仕事に対するやりがいや達成感をより一層深めることができます。